オカジマリオの年金づくり・第二期

なりたてCFP認定者の老後資金の運用記録。含み益込みで1500万円台と1600万円台をいったりきたりしています。

【雑談】「ME&MY GIRL」に見る、資産運用の基本(1)【ネタバレ含む:長文】

オカジマ リオです。

今回は文章が長いので最初から閉じます。

思いつくまま書きますので、興味のある方だけ、どうぞ。

 

「ME&MY GIRL」 という名前のミュージカルはご存知でしょうか。

ミュージカルと言うとブロードウェイ(アメリカ)を連想させますが、この作品はイギリス・ロンドンで1937年初演。

日本では宝塚歌劇団東宝ミュージカルで舞台化されています。

ところで、この「ミーマイ」のあらすじはご存知でしょうか。

ミー・アンド・マイガール - Wikipedia

wikipediaにもありますが、「マイ・フェア・レディ」の逆なんじゃない??と書かれてはあります。

日本初演の宝塚・月組版のCD*1を聴く限りでは私はそうとは思えなかった。

歌を聴く限りでは、この内容はあらゆる困難に立ち向かうための心構えというべきことが書かれてあるように思います。

そして英国でこのミュージカルが初演された時、英国は正に「国難」を向かえようとしていたのでした。

※この点については英国史に詳しい人なら述べるまでもありませんが、自分の為に後述します。

  

日本初演の宝塚・月組公演は観ていませんが初演のCDは持っています。

東宝ミュージカルの2003年の公演も観に行っています。

唐沢寿明が主演のビル、木村佳乃がサリー役。

うまいかどうかはともかく、いわゆるトレンディドラマで彼らを見慣れている私は正直、歌って踊る彼らに違和感を感じました。

 

宝塚初演版のCDを聴くと、そこここにイギリスの1930年代の風俗や習慣が出てきますが、現在に生きる、庶民の私たちからすると隔世の感すらあります。*2

物語のラストにエレガントに変身したサリーが現れるのですが、その直前には、マリア公爵夫人とジョン卿とのやりとりで、ジョン卿が「アイタタタ、腰が痛い。いつものやつ(発作か?)だマリア、背中を叩いてくれ」と言うシーンもあります。

これはどうやら、第一次世界大戦にジョン卿が出征し、戦場で被弾した時のケガの後遺症である、という説明を以前、別の書籍で読んだようにも思います。

出典がはっきりせずにごめんなさい。

 

しかし、時代が下っていくに従って演者も演出家も変化してきているのは仕方ないことなのでしょうか。

「イギリスの貴族社会の風刺」という点が日本版ではうまく表現されなくなってきていると指摘したのはどなただったかしら。

 

市場で魚売りをしていて言葉づかいも態度もお下品な「僕の女の子」サリーが、ジョン卿のおかげでいわゆる正装でエレガントな立ち振る舞いが出来るようになって、公爵家の跡継ぎになったビルの元に帰って来てこの話はハッピーエンドになるのですが、初演月組実況CDはにはまだイギリスの1930年代を感じさせる空気がCDの音声からもなんとなく読みとれます。

しかし、ビルやサリーの下品な振る舞い、バタバタした動きだけが時代を下るに従って目立ってきているのは気のせいかしら。

ビデオ化、DVD化している物を見てしまったせいだけではないでしょう。

演出*3を非難するわけではないですが、そんな作りになってきていると感じました。

 

私がなぜそう思ったのかというと、ライブ・ビューンイングで「ミーマイ」の千秋楽を観る機会があったからです。

東宝系のシネコンでは東京宝塚劇場公演や宝塚大劇場公演の千秋楽がライブ中継されるのですね。

liveviewing.jp

これで、花組公演の東京千秋楽を見る機会があったのです。

この時もやはり主演二人(ビルとサリー)のドタバタが目立ち、さらに書きますと、これは主演の彼女(彼?)を責めてはいけないのですが、柄違いのように思いました。

明日海りおさんは元々品がよく、がらっぱちな演技は(いや、仕事だからやんないといけないけど)あまり得意でなかったように思いました。

だからノーブルな時はいいのですが、ドタバタはわたし的にはちょっと・・・・

ドタバタのこの傾向、根が江戸っ子の天海祐希月組で主演を張った時はまだ目立たないように思いましたがね。

 

 

さて、前置きがながくなりました。

 

 

「ミーマイ」の劇中歌が素晴らしいと思います。

冒頭にも述べましたがこの中には、人がさまざまな苦難に立ち向かう時の知恵、心構えがふんだんに込められています。

ひいては、資産運用に関する心構えとでも言いますか。

 

登場人物でいわゆる「労働者階級」と思われるのは主人公のビルとサリー、およびその友人たち端役の警官と、サリーの下宿先の大家のブラウン夫人、ヘアフォード家に仕える者たち、あとはギリギリの線でしょうが、「お屋敷の弁護士」パーチェスターさんくらいなもので、主要人物は貴族の特権を利用したり、代々受け継いだ財産を切り崩したり、おそらく資産運用したりして生きているのです。

*4

 

 

劇中歌のマイベスト3をあげるなら

コミカルな「お屋敷の弁護士」

マリア公爵夫人が先祖の皆さんと誇らかに歌う「ヘアフォードの歌」

そして、「顎で受けなさい」でしょうか。

「顎で受けなさい」(Take It On The Chin)は庶民出身のサリーが、恋人のビルが「お屋敷」に慣れて来たのかどんどんエレガントな振る舞いをし始めたために困惑する場面に出てくる歌です。

こんな歌詞です。

 youtubeのリンクも貼っておきます。

(英語版)

www.youtube.com

 (日本語版)

www.youtube.com

ある時にみんなが言った
ママとパパと兄姉達が
大きくなればお前もやがて家から出て行くだろう
そして言った こんなことを
ママとパパと兄姉達が
教えておくが世の中で悔しいことが起きたら
受けなさい アゴ
何が聞こえてきても
知らんふりしてな 朗らかにしてな
そう言ったんだ ママとパパと兄姉達が
その通り 肝に銘じていなけりゃダメと
言われたその通りだ
ちょっとした知恵
悲しみ受け流す知恵
アゴで受け止めてニガい顔して スマイル
考えりゃみんなくだらないことだ
ガタガタしても死ぬの待つだけ
生きてればどんな目に会おうとも
アゴで受け止めてニガ虫つぶして スマイル
ちょっとした知恵
悲しみ受け流す知恵
アゴで受け止めてニヤリとしてから スマイル
考えりゃみんなくだらないことだ
ガタガタしても死ぬの待つだけ
生きてればどんな目に会おうとも
アゴで受け止めてニヤリと笑おう
アゴで受け止めてニヤリとしてから スマイル    

私は英語がまるで出来ませんが、 「顎で受け止め」というのは日本語としては女性に言わせるにしてはエレガントではないとも思いますし、訳がおかしいともいう記事もインターネット検索で発見しました。

しかし、苦難はやはり「顎で受け止める」なんですよね。

降りかかった苦難に対して「踵落とし」「蹴り」ではないように思います。

 

プロレス技?

 

ぐっと堪える、という表現、しぐさになるのは万国共通なのでしょうか。

 

 

「ヘアフォードの歌」はこんな感じの歌詞です。

 

ググっても日本語歌詞が出てこなかったので、私の記憶と所有するCDから拾います。

 

伝わるヘアフォードの物語

ノルマンのウィリアムの時から

続いたヘアフォード 時代超えた栄光の物語

貴族には義務がある 義務がある

領主は皆それぞれ 務めを果たした

花咲くヘアフォードストーリー 死んで重ね行く栄光

立つ(勝つ?)ヘアフォード礎に ヘアフォードの血筋よ

続いて欲しい 一筋に 今日を生きる人まで

 

英語歌詞にもありますが、ビルにいわゆる「ノブレス・オブリージュ」をマリア公爵夫人と一緒に「わが先祖のみなさーん(劇中歌では男声合唱となっている)」が説く場面には日本語バージョンの場合、こんな歌詞もあります。

「貴族には義務を伴う」

土地にも財産にも払わねばならぬ代償がある

財産には責任を伴う

「高貴の身は義務を伴う」

 

 

www.youtube.com

 

下線部に注目します。

線は私が引きました。

 

「土地にも爵位にも払わねばならぬ代償がある」

端的に言うとそこんちに生まれた子どもはその家の為に生きなくてはならない。

好きな職業にも付けないし、思いあった相手とも結婚できない。

結婚相手も、互いの家も存続させなくてはならない。

つまり、自分の意志やら感情は二の次なのです。

マリア公爵夫人も劇中で言います。

「愛なんて、中流階級の物ですわ」と。*5

 

 

「財産には責任を伴う」

先祖代々が作り積み上げた資産を守り、減らすことがあっても殖やさねばならないというメッセージが込められていると思います。

我々は代々、その上がり(つまり資産運用)で食って来た。

おそらく我々の子孫もそうやって生きて行くのだろうから、その者たちの為にも資産は減らす、削るなど言語道断。

先祖から受け継がれたものを守るのは我々の責任である、と

 

しかし、これを勤勉に守ってきた子孫がどれくらいいるのかな。

自分で出来ないとすれば、資産運用に長けた者に運用を任せて来たのでしょう。

あるいは放蕩の限りを尽くし、没落した者もおるのでしょう。

 

 

この時代の貴族に比べれば、我々市井の資産運用なんて・・・・

「自分(せいぜい自分の子どもまでだろう)の為」であるし

「自己責任」だけ問われるだけであろうし、まあ、楽っちゃ、楽ですね。

 

金額の差はあれども。

 

番外。

「ミーマイ」のオープニングはこんな感じ。

怠惰な貴族の生活を皮肉った内容です。

 

これまた、現代に生きる私たち日本人には隔世の感があります。

下線部がその部分です。

ザ・シーズンのロンドンは退屈

新しいことは何もない

人は疲れ もうパーティなど 誘われても出たくない

 

パーティ??そんなの年に何回あるって・・・・

少なくとも私にはない。

 

週末のロンドンはつまらない

クリケットもない レガッタもない

ウィンブルドン*6終わり 映画もない

太陽 田舎で浴びる時*7

 

そして、クリケットレガッタも・・・・そんな習慣、ない。

 

疑いもなく最高の場所

エリートだけが行けるヘアフォード

招かれる人は一流の人

おおgoodness(godness??) 公爵に招かれた

 

我々が着いたら館は 光り輝いてくるのだよ

 

ここでは朝も起こしに来ない

朝食はベットの中

遊ぶものも揃っている

ザ・スイミング ザ・クロケット テニス ゴルフ

 

どなたにもお勧めが出来る

誇り高く招くヘアフォード

これほどの場所はどこにもない

この気品 この広さ どこにもない

 

近づいてきたのでワクワク

若い人オドオドしている

礼儀を守り過ごすなら 何も恐れることはない

あとは気楽に楽しめる 太陽当たる所でね

 

輝くヘアフォード すばらしい

誇り高いこの館

みんな揃い楽しめる 太陽当たるお屋敷で

 

お気の毒なことがあるのよ

お世継ぎが今も見つからない

弁護士が探し続けてる 

お世継ぎを見つけようと探してる

 

ニュースだみなさんお聞きなさい

弁護士が世継ぎを見つけたぞ

疑いもなく本物だぞ

弁護士が見つけて連れてくる

 

僕はみたぞ 今

もうすぐもうすぐここに来る

 

色は白いの?

僕ら気にもしない ニューヘアフォード

どんな人かとても興味あるわ ニューヘアフォード

教えてほしい 世継ぎについて

ハンサムなのか かしこい人か

弱そう?強そう?

本物なのか?すべてOKか?

まもなく見られる

もうすぐ もうすぐ 見られるよ

 

 (2)に続く。

*1:初演のこの年1987年、月組に今は女優で、在団中に最年少で月組トップスターに就任した天海祐希が入団しました。そして初演の「ミーマイ」は宝塚史上初となる1年間のロングラン公演となりました。

*2:ネタバレになりますが、マリア公爵夫人とジョン卿との会話で「(ビルとサリーが結婚するのは)私たちの国王陛下があの植民地の女と結婚するを許すのとは訳がちがいますよ(少なくともわたくしは許しません的ニュアンス)」という所は、当時のイギリス国王エドワード7世とウォリス・シンプソン夫人との恋話ですし、マリア公爵夫人の甥のジェラルドが婚約者でいとこのジャクリーンを鞭で叩いていると思われるシーン(音と声のみ)もあります。

妻となる女性を躾ける、という手段として鞭叩きがあったなど、今の私たちには考えられない話ですが

*3:宝塚月組初演の演出は小原弘稔先生。以降の担当は三木彰雄先生。

*4:主人公のビルの従兄弟のジェラルド(主要人物の一人)は「行儀を教えて」生活しています。「働けっているのかい?昼前に起きるのかい」と婚約者でやはりビルの従姉妹のジャクリーンにそう話しかけるシーンが冒頭にあります

*5:マリア公爵夫人はビルの父親の一番下の妹です。実はジョン卿と思いあっていたのですが、彼女は家の繁栄の為に一旦誰かに嫁ぎ、配偶者と死別。その後再婚はしていないようです

*6:テニスの四大大会の一つ。歴史は古い、第一回大会は男子が1877年、女子は1884年からである。ウィンブルドン大会は例外があるものの毎年6月最終月曜日から2週間の日程で行われる。

*7:日光浴が骨にもメンタルにも効くのはよく知られたことですが、日本人にはあまりなじみのない習慣ですかね